新自由主義――もう一つの隠れマルクス主義

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この記事ではミルトン・フリードマン新自由主義と中心に新自由主義の価値観とユダヤ思想との関係性について見てきたいと思います。

 

 

新保守主義新自由主義を生み出したマルクス主義

以前に、新保守主義が実際はトロツキズムが偽装したものであるということを、歴史と照らして示しました。今回は新自由主義についても同じように、実際はマルクス主義の変種であるということを示したいと思います。

ミルトン・フリードマン共産主義

これは最も著名な新自由主義者のひとり、ミルトン・フリードマンの『資本主義と自由』の中の言葉です。

なお免許を認可する際には、素人目からするとどう考えても職業上の能力とは無関係の条件が付けられることが多い。

フリードマンの言及は一見正しい側面があるように見えるかもしれませんが、彼の本旨は私たちが想像しているような部分にはない。彼はゲルホーンの次のような言及を引用します。

1952年テキサス法では、薬剤師の免許申請者は「自分は共産党員ではなく、シンパでもない。暴力その他の不当な手段によってアメリカ政府の転覆を企図、宣伝、促進する組織を信奉せず、加担せず、指示しない」ことを誓わなければならなかった。だが、この誓いと、薬剤師免許制度によって保障されるはずの公衆衛生との間にはどんな関係があるというのだろうか。またインディアナ州では、プロボクサーとプロレスラーは破壊分子でないことを誓わなければならなかったが、その理由が正当と言えるのかは甚だあやしい。<中略>コロンビア区では、ある中学の音楽教師が共産党員だとしてクビになり、その後ピアノの調教師にもなれなかった。共産党員の烙印を押されたためである。ワシントン州では、獣医はまず共産党員でないという宣誓書に署名してからでなければ、病気の牛や猫を診察できなかった。

フリードマンは、「免許制度が目的とする職業の質の維持を共産主義と関連づけるのは、どう見てもこじつけである。」と主張します。フリードマンアメリカの共産主義者がその政治的思想によらずに職業に就くことができるように宣伝し、共産主義者の資金源と国家転覆のための活動の機会を与えようとしていました。

当時のアメリカ文化が要求した反共姿勢は、部分的にはアメリカ政府からのトップダウン的なものだったかもしれませんが、一方で、一般のアメリカ国民が自分たちの国家を転覆しようとするならず者を排除しなければならないという意志からも生まれていました。

ある人が共産主義はあらゆる自由を破壊すると考えたとしよう(私がそうだ。)その人は、断固としてこの主義に反対するだろう。しかし同時にその人は、共産主義を信じたとか広めたというだけの理由から、共産主義が他の人の自発的な取引を禁じられるのは耐え難いとも考えるはずだ。共産主義者には共産主義を信奉し広める自由がある。

フリードマンは、個人による反共を認めるふりをしながら、業界全体における反共姿勢に断固とした反対姿勢を貫いている。マッカーシズムによって、如何に理不尽に人々が共産主義者という告発を受けて来たかという点を強調し、赤狩りを批判しています。

連邦準備銀行主義

ミルトン・フリードマンの思想は自由主義を標榜していますが、多くの自由主義がそうであるように、彼らは必ず何かしらの強制的な地位にあるものを密かに隠し持っています。フリードマンの場合は、連邦準備銀行と言わなければなりません。フリードマン通貨発行権連邦準備銀行にしか認めません。実際に新自由主義経済学者の多くが連邦準備銀行創設に参加したロックフェラー家との深い関係がありました。

連邦準備制度の設立は、アメリカの通貨制度における一大改革と言えるだろう。少なくとも南北戦争中に制定された国法銀行法以来の大きな改革である。

ミルトン・フリードマンは一貫して連邦準備銀行の重要性を強調しています。アメリカのウォール街ロシア革命の革命家勢力、共産主義者を支援していたことは以前に紹介しましたが、この点にも共通点が見られます。

新自由主義者

新自由主義もまた新保守主義と同じく、そのルーツは主にユダヤ人に帰することができます。

1938年8月に、パリでウォルター・リップマン国際会議が開かれました。この会議では、リップマンの他に、オーストリア学派の経済学者フリードリヒ・ハイエク、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス、フランスの経済学者ジャック・リュエフらが参加しています。他に様々な参加者がいますが、少なくともここに名前を挙げたメンバーはみなユダヤ人です。

フリードリッヒ・ハイエクは後にモンペルラン・ソサエティと呼ばれる新自由主義者のコミュニティを作りました。ミルトン・フリードマンもモンペルラン・ソサエティの会長を務めています。他に著名な参加者には、科学哲学者・経済学者で『暗黙知の次元』などで日本でもなじみのあるマイケル・ポランニーや、哲学者のカール・ポパーなどがいます。日本人ではCIAの協力者で、右翼のフィクサーとも言われていた田中清玄が有名です。

フリードリッヒ・ハイエクは今に至るまで日本国内の多くの保守派言論人の理論的支柱となっており、ミルトン・フリードマンをあまり快く思っていなかった評論家の西部邁なども彼を高く評価していました。渡部昇一中川八洋なども同様にハイエクの信奉者でした。

ハイエクポパーなど一部反共姿勢を貫く一方で、彼ら自身が言うように、実際に彼らの思想は西欧の伝統的な保守ではありませんでした。ハイエクにせよ、ポパーにせよ、彼らは自ら合理主義者を自認していました。

新自由主義者の末裔

新保守主義の祖とされたアーヴィング・クリストルやノーマン・ポドレツの子供が彼らの思想を受け継いだように、ミルトン・フリードマンの息子も彼の理論を引き継ぎました。デイヴィッド・D・フリードマン新自由主義から更に無政府資本主義理論家として、その考えを発展させました。

新自由主義ミルトン・フリードマン共産主義者に同情的であったように、インターナショナル運動が生み出したもう一つの思想である無政府主義へと接近しています。というよりも、新自由主義そのものがもともと無政府主義への強い願望が見られるように見受けられますが。

今後の課題

フリードマンについては、彼の様々な政策理論が、もし彼がマルクス主義者と同じように、国家転覆の思想を持っていたのであればという論点から考察する必要があります。彼の累進課税制度批判やバウチャー制度、麻薬の合法化や売春の自由化なども、マルクス主義あるいはアメリカ合衆国転覆のための魔術的な思想だったとしたらどうでしょう。

私個人としてフリードマンを隠れ共産主義者であるという前提で議論している言論を読んだことがありませんが、こういった観点からも経済学を捉えなければならないのではないかと思っています。現に世界はアメリカですらその例外ではないように国家の解体と、1つの統一国家を目指す秘密結社的な動きによって導かれているのですから。