通説フランス革命史④

今回は、日本での一般的なフランス革命の歴史を辿っていきたいと思います。教科書などを参考にやや階級闘争史観を取り除きました。この一般的なフランス革命観が実は意図的に本当の歴史が隠されたものであるということを認識する必要があります。

一般的な歴史認識の背後に隠れた事実を確認しながら以後のフランス革命論を進めていくつもりでいます。

 

 

幻のジャコバン憲法

独裁権を握ったモンターニュ派は、亡命者財産の売却、共有地分割法などで土地を農民に分配し、1793年憲法を制定し、封建的諸特権の無償廃止を決定しました。1789年の特権の廃止は有償での廃止でした。

1793年憲法ジャコバン憲法と呼ばれ、革命期の憲法のなかでもっとも民主的な内容をもつもので、人民投票で採択が決められました。革命権をも保障したこの憲法は、平和が到来するまで実施を延期されることになり、結局、1793年憲法は執行されませんでした。

マラー暗殺とロベスピエールの台頭

政治的・経済的な危機はなおも続き、地方ではジロンド派が蜂起し、対仏大同盟の軍隊がフランスに侵入し、国民総徴用令が出されました。インフレや小麦不足も深刻化していきました。

1793年7月13日、モンターニュ派の指導者のひとりマラーが暗殺されました。犯人はジロンド派に同調するシャルロット・コルデーという若い女でした。

危機に対応するための非常措置がとられ、恐怖政治が組織されました。公安委員会にはロベスピエールが入り、権限が強化され、強力な独裁政治の執行機関となりました。反革命容疑者の逮捕、裁判の促進など、革命委員会はあらかじめ容疑者のリストを作成しました。

マリー・アントワネットの処刑

王妃のマリー・アントワネットが10月に処刑され、ロラン夫人などのジロンド派指導者の処刑も行われました。

最高価格令が出され、生活必需品・労働賃金の価格統制が行われました。古い伝統が否定され、革命歴が採用され、非キリスト教運動が展開され、理性が崇拝の対象となりました。93年末に外国の侵入軍を撃退し、国内の反乱も鎮圧します。

ダントンの処刑と恐怖政治

革命政府が国外・国内で勝利をえた1794年には、モンターニュ派の指導者間の対立や不信が表面化してきました。パリの過激派からの支持を獲得したエーベル派は民衆に過激な扇動を行っていました。

キリスト教運動も進められ、銀行家などが逮捕され、国民公会に対する蜂起計画が告発され、逮捕・処刑されました。

ダントン派は恐怖政治の緩和を要求しましたが、ダントンの汚職が摘発され、処刑されました。公安委員会が指導するロベスピエールが独裁権を握り、恐怖政治が一層強化されていきました。

革命裁判は迅速化され、94年6月のプレリアール法では、弁護・証人・予審を省くことが可能となり、僅か47日間でギロチンで1376名が処刑されました。

テルミドールのクーデター

次第にブルジョア階級は経済活動の自由を要求するようになり、労働者は賃金の統制に不満を持つようになりました。公安委員会でもロベスピエールの独裁に反感が生じ、国民公会でも反ロベスピエール派が形成されました。

94年7月27日、革命歴のテルミドール9日国民公会ロベスピエールを告発し、ロベスピエール派の逮捕が決定しました。コミューンの蜂起に乗じて、ロベスピエールらは一時パリ市庁舎に逃げ込みましたが、国民公会は軍を派遣して、ロベスピエール派を襲撃、逮捕し、裁判を経ずに処刑しました。

テルミドール9日のクーデターで恐怖政治に終止符が打たれ、国民公会は穏和派が主導権を握りました。プレリアール法は廃止、公安委員会は権限を縮小、革命裁判所も改変され、ジャコバンクラブは閉鎖されました。

このため、反革命派勢力や王党派が力を盛り返すようになり、経済では物価の高騰が起こりました。

総裁政府

1795年、国民公会は新憲法を制定し、秩序の安定をはかりました。二院制の議会を採用し、ポール・バラスら5人の総裁による政府が作られることになりました。10月に成立した総裁政府は共和政維持と社会秩序の回復を宣言しましたが、総裁政府は王党派・反革命派、急進派との間で不安定な政権になりました。

王党派は総裁政府発足する直前にパリで反乱を起こし、ナポレオンがこれを鎮圧しました。一方、1796年に平等主義を唱えるバブーフの総裁政府打倒計画が発覚しました。左派と右派によるクーデタが毎年のように起こりましたが、対外的には軍事的勝利が続きました。

フランスはオランダを征服し、95年にプロイセンと講和を結び、ナポレオンがイタリア遠征に勝利すると97年にはオーストリアとカンポ=フォルミオの和約を結んだことで、第一回対仏大同盟が崩壊しました。

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最後に

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