ウクライナの政党政治資料
こんにちは。いつもお越しくださる方も、初めての方もご訪問ありがとうございます。
今回はウクライナの政党政治の歴史を軽く資料に基づいて調べていきたいと思います。記事中には私個人の偏見や認識の誤りも含まれていると思います。その点のご理解のほど、よろしくお願いいたします。
学問・思想・宗教などについて触れていても、私自身がそれらを正しいと考えているわけではありません。
序文
ウクライナがソ連から独立してからロシアによるウクライナ侵攻までの流れを政治的につかむための資料をまとめたいと思います。
ウクライナの政党政治の歴史
1990年ウクライナ最高ソヴィエト選挙
ウクライナは1991年に独立しています。その前年となる1990年に行われた選挙の結果を見ていきます。
ウクライナでそれまで行われてきた選挙と比較すると自由な選挙だったとされています。とはいえ、ウクライナ共産党と民主主義ブロックの二つの政党しか議席がありません。
ウクライナ共産党 ウラジーミル・イワシコ党首
投票率74% 議席数331
民主主義ブロック イホール・ユフノフスキー
投票率26% 議席数111
ソ連共産党から離脱したレオニード・クラフチュクがウクライナの初代大統領となりウクライナは独立しました。
1994年ウクライナ議会選挙
独立後初めてとなる選挙で多くの政党が誕生しています。選挙結果はウクライナ共産党が多数を占める結果となっています。東ウクライナやクリミアなどで高い投票率を誇っています。非常に多くの政党が参加しているのが印象的です。また無所属の議員が多く当選していることも特徴的といえるかもしれません。
ウクライナ共産党 ペトロシモネンコ
投票率12.7% 議席数86
ウクライナの人民運動 ヴィアチェスラフ・チョルノヴィル
投票率5.2% 議席数20
ウクライナ社会党 オレクサンドル・モロス
投票率3.1% 議席数14
ウクライナ農民党
投票率2.5% 議席数19
無所属
投票率51.4% 議席数168
以下10議席以下の主な政党
ウクライナ共和党、ウクライナ国民会議、ウクライナ民主党
この年にクラティクを破ったレオニード・クチマが第2代大統領に就任しています。
1998年ウクライナ議会選挙
前回の選挙よりも無所属議員の数が減り、その分政党が議席を伸ばしています。ウクライナ共産党が議席を伸ばし、票を集めた野党政党は前回の選挙と大きくは変わってはいませんが、少数派政党は変動があったようです。東側と西側で形勢に違いが見られます。
ウクライナ共産党 ペトロ・シモネンコ
投票率24.7% 議席数122
ウクライナの人民運動 ヴィアチェスラフ・チョルノヴィル
投票率9.4% 議席数46
ウクライナ社会党とウクライナ農民党 オレクサンドル・モロス
投票率3.1% 議席数35
緑の党
投票率5.4% 議席数19
人民民主党
投票率5.0% 議席数27
全ウクライナ協会コミュニティ
投票率4.7% 議席数23
無所属
議席数105
2002年ウクライナ議会選挙
この選挙によりウクライナ共産党は初めて与党の座から陥落します。ヴィクトル・ユシチェンコ率いるウクライナ・人民自衛ブロックが最大与党を獲得しています。ロシアからウクライナへの天然ガスの最大の輸入・卸業者となった「ガスの王女」とされるティモシェンコが個人名で政治組織を立ち上げている点などは日本では考えられないかもしれません。
我らのウクライナブロック ヴィクトル・ユシチェンコ
投票率23.6% 議席数112
ウクライナ共産党 ペトロ・シモネンコ
投票率20.0% 議席数65
ウクライナ連合のために
投票率11.8% 議席数121
ティモシェンコブロック ユーリヤ・ティモシェンコ
投票率7.3% 議席数22
ウクライナ社会党 オレクサンドル・モロス
投票率6.9% 議席数22
ウクライナ社会民主党
投票率6.3% 議席数27
無所属
議席数66
2004年に大統領選挙があり、親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチが勝利しました。この選挙が不正選挙であるとしてユシチェンコ、ティモシェンコらが抗議活動を行いました。アメリカのネオコン勢力がこの抗議活動を支援します。この結果オレンジ革命というものにつながり、再選挙の結果ヴィクトル・ユシチェンコが勝利し第3代大統領となりました。
2006年ウクライナ議会選挙
オレンジ革命の結果とは裏腹に2006年のウクライナ議会選挙ではヴィクトル・ヤヌコーヴィチが東側で議席を伸ばし最大議席数を獲得、一方の我らのウクライナは第三党に転落します。
地域党 ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ
投票率32.1% 議席数186
ティモシェンコブロック ユーリア・ティモシェンコ
投票率22.3% 議席数129
我らのウクライナブロック ヴィクトル・ユシチェンコ
投票率14.0% 議席数81
2007年ウクライナ議会選挙
翌年の選挙ではややティモシェンコブロックが票を伸ばしましたが、構図は大きく変わっていません。
地域党 ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ
投票率34.4% 議席数175
ティモシェンコブロック ユーリア・ティモシェンコ
投票率30.7% 議席数156
我らのウクライナブロック
投票率14.2% 議席数72
2010年の大統領選挙では、再びヴィクトル・ヤヌコーヴィチが大統領選挙で勝利しました。これに対してユーリア・ティモシェンコは法廷闘争に持ち込む意向を表明しましたが、その後取りやめてヤヌコーヴィチの当選が確定し、ヤヌコーヴィチが第4代ウクライナ大統領に就任します。
2012年ウクライナ議会選挙
構図は大きく変わらず、全ウクライナ連合「祖国」はユーリア・ティモシェンコ・ブロックの中枢をなした政党で、名称以外は前回と大きくは変わらないと思います。我がウクライナから離脱した政治家の一部が第三党のビタリ・クリチコというボクサーを中心に、ビタリ・クリチコのウクライナ民主改革連合を誕生させます。一方我がウクライナブロックは選挙で惨敗し解散します。
地域党 ミコラ・アザロフ
投票率30.0% 議席数185
全ウクライナ連合「祖国」 アルセニー・ヤツェニュク
投票率25.6% 議席数101
2014年にふたたびウクライナでマイダン革命と呼ばれる革命が勃発します。別名2014年ウクライナ騒乱といいます。キエフでの暴力衝突によりヤヌコーヴィチ大統領が失脚しました。これを受けてクリミアが独立を宣言し、ロシアは3月21日にクリミアを併合します。4月には東ウクライナのドネツィク州とルハーンシク州でも親露派による抗議活動がドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国の宣言に発展しました。
一方ウクライナは全ウクライナ連合「祖国」のオレクサンドル・トゥルチノフが大統領代行を務め、大統領選挙の結果ペトロ・ポロシェンコが第5代大統領に就任します。
2014年ウクライナ議会選挙
一連の騒乱により地域党が壊滅したため、同年の選挙では全ウクライナ連合「祖国」から分裂したウクライナ民族派の人民戦線党が議席を伸ばし、ウクライナ社会民主党から発展したペトロ・ポロシェンコブロックがそれに続きました。以下、20から30人程度の新党が多数誕生しましたが、全ウクライナ連合「祖国」は大きく議席を落としました。
人民戦線党 アルセニー・ヤツェニュク
投票率22.1% 議席数82
ペトロ・ポロシェンコブロック
投票率21.8% 議席数132
自立連合
投票率11.0% 議席数33
野党ブロック
投票率9.4% 議席数27
オレグ・リャシュコの急進党 オレグ・リャシュコ
投票率7.4% 議席数22
全ウクライナ連合「祖国」 ユーリア・ティモシェンコ
投票率5.7% 議席数19
2019年ウクライナ議会選挙
この選挙で2017年にウォロディミル・ゼレンスキー主演のテレビ番組の「人民の僕」という番組から誕生した政党「人民の僕」が大勝します。
人民の僕 ドミトロ・ラズムコフ
投票率43.2% 議席数254
野党プラットフォーム「命のため」
投票率13.1% 議席数43
全ウクライナ連合「祖国」 ユーリア・ティモシェンコ
投票率8.2% 議席数26
ヨーロッパの連帯 ペトロ・ポロシェンコ
投票率8.1 議席数25
メディア戦略の影響で73%の得票数を獲得し大勝したウォロディミル・ゼレンスキーが第6代ウクライナ大統領となりました。ゼレンスキーが大統領になるのに最も大きな貢献をしたのは1+1グループを所有していたコロモイスキーであったことは別の記事で紹介しました。コロモイスキーはロシアにより殺人の組織化および禁止された戦争方法の使用の罪で訴えられている、ウクライナNo3のユダヤ系オルガルヒであり、現在はスイスやアメリカで活動しています。
ウクライナ侵攻の背後にある歴史は手短ながらこう言った流れになっています。
ウクライナ・オン・ファイヤー 日本語字幕(字幕改正版) - YouTube
感想
正直な感想は汚職・不正・詐欺・欺瞞が渦巻いているウクライナ政界という印象でしょうか。日本の政治家もひどいものですが、おそらくウクライナははるか上をいっています。
オレンジ革命とマイダン革命が必ずしも成功しなかったという反省から、メディアによる心理操作という方向に切り替えています。数年のメディア工作でここまで大勝利をおさめることができるのであれば、違法でないわけなので、やりたい放題といえるでしょう。日本も何も批判しないと、このような方法がどんどん輸入されてきます。
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最後に
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