『バトル・オブ・ロシア』―シリーズ「我々はなぜ戦うのか」⑤

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今回は『バトル・オブ・ロシア』の英語版Wikipediaの翻訳をします。翻訳のプロではありませんので、誤訳などがあるかもしれませんが、大目に見てください。

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当たり前のことかもしれませんが、学問・哲学・宗教などについて触れていても、翻訳している学説・思想・宗教観を正しいと考えているわけではありません。

 

 

『バトル・オブ・ロシア』

The Battle of Russia - Wikipedia

『バトル・オブ・ロシア』(1943年)は、フランク・キャプラ監督のドキュメンタリーシリーズ『我々はなぜ戦うのか』の第5作目である。シリーズ最長の作品で、2部構成となっている。キャプラの監督のもと、リトアニア出身のアナトーレ・リトヴァクが主監督を務め、共同で制作された。リトヴァクはこの映画に「形と方向性」を与え、映画には7人の脚本家がおり、音声ナレーションはウォルター・ヒューストンが担当した。音楽は、ロシア生まれのハリウッドの作曲家、ディミトリ・ティオムキンが担当し、チャイコフスキーとロシアの伝統的な民謡やバラードが多用された。

映画史家のクリストファー・メイヤーは、この映画の人気は「当初想定していた軍人の観客を超えて広がり、シリーズ2作目のアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた」と述べている。

構想

映画は、1242年のチュートン騎士団セルゲイ・エイゼンシュテイン監督の『アレクサンドル・ネフスキー』の映像が使われている)、1704年のスウェーデンのチャールズ12世(ウラジーミル・ペトロフ監督の『ピーター・ザ・グレート』の映像が使われている)、1812年ナポレオン1世、そして第一次世界大戦ドイツ帝国と、過去にロシア征服に失敗した歴史を概観するところから始まる。

続いて、ソヴィエト連邦の膨大な天然資源が紹介され、なぜこの地が征服者の熱い視線を集めているのかがわかる。アメリカの観客にソ連の印象を良くするために、ソ連の民族の多様性が詳しく紹介され、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーの作曲した曲や、レオ・トルストイの著書『戦争と平和』など、アメリカ人に馴染みのあるロシア文化の要素も紹介される。共産主義については一切触れられていないが、ロシア正教会はナチズムに対抗する勢力として描かれている。映画の冒頭では、アメリカのダグラス・マッカーサー元帥の言葉が紹介され、ロシア国民の国家防衛は軍事史上最も勇敢な偉業のひとつであると称賛されている。

1941年6月22日にロシアとの戦争が開始される前に、連合国側の反攻ルートを封鎖するための下準備として、ドイツによるバルカン半島の征服が紹介されている。ナレーションでは、ドイツの「ケイル・ウント・ケッセル」という攻撃的な戦法と、それに対抗するソ連の「深層防御」という戦術が紹介される。また、ソ連の焦土戦術、ソ連の都市での部屋ごとの市街戦、敵陣の背後でのゲリラ戦なども用いられ、ドイツ軍に対するソ連の勝利への決意を強調している。レニングラード包囲戦スターリングラードの戦いが映画を締めくくる。

※ ケイル・ウント・ケッセル・・・「楔と大鍋」が原義で、大鍋の中に敵を囲い込むよう二方向から進撃し敵を分断し、囲い込んだ敵に楔を打ち込むように攻撃する方法。

※ 深層防御・・・水際作戦の対義語で、攻撃側の前進による占領地の増加と引き換えに、敵の犠牲を増加させる戦略。

このエピソードは、他の『我々はなぜ戦うのか』シリーズと同様に、ソ連がバルト諸国を占領したこと、フィンランドとの戦争、ポーランドでの占領と残虐行為、ルーマニア領の占領など、ソ連を否定的にとらえることができる多くの事実が省略されている。また、この映画では 「共産主義 」という言葉は出てこない。

事実上、ソ連プロパガンダに沿ったこのシリーズは、ソ連で上映されただけでなく、広く評価された。このエピソードは、「事実の分析を装った露骨な親ソヴィエトのプロパガンダ」と評され、冷戦下では流通から取り除かれていた。キャプラは、ある素材が省かれた理由についてこうコメントしている。

あの映画では、ロシアとの間に政治的な問題があった。その問題とは、我々の側にいた非常に多くの人々が、共産主義者から商品を売りつけられようとしていなかったということだ。私たちは彼らの同盟国でしたが、それだけでした。共産主義は私たちが望むものではなかった。だから、政治とは距離を置き、国民の戦いとした。その結果、「バトル・オブ・ロシア」はシリーズ最高のエピソードの1つとなり、真の意味での「バトル・オブ・ロシア」となった。

受賞歴

1943:1943年ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞(最優秀ドキュメンタリー映画)受賞
1943:ニューヨーク映画批評家協会賞 特別賞
1944:第16回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ノミネート
2000:ナショナル・フィルム・レジストリ、『我々はなぜ戦うのか』シリーズの一部として登録

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最後に

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