ニューヨーク・タイムズとサルツバーガー家

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今回はみなさんご存じのニューヨークタイムズの歴史を簡単に紹介したいと思います。

 

 

レイモンド・ジョーンズ&カンパニー

ニューヨーク・タイムズは1851年9月18日に、ニューヨーク・デイリー・タイムズの名前で設立されました。ニューヨーク・デイリー・タイムズはジャーナリストで政治家のヘンリー・ジャーヴィス・レイモンドと元銀行家のジョージ・ジョーンズによってレイモンド・ジョーンズ&カンパニーによって創刊されました。

レイモンドはホレス・グリーリーのニューヨーク・トリビューンなど複数の新聞社でジャーナリスト、編集者として働いていました。彼はニューヨーク・トリビューンでジョーンズと知り合い、新聞社を始めることを話しました。そこでジョーンズは共同経営者となり、エドワード・モーガンクリストファー・モーガンといった投資家から寄付や資金を募り会社を創設しました。

レイモンドとジョーンズは、翌年にカリフォルニアでも新聞を発行しましたが、地元の新聞に勝利することができずに失敗に終わりました。1857年に新聞名をニューヨーク・タイムズに変えました。(1896年からはニューヨークの間のハイフンを削除することで現在の新聞名になりました。)

南北戦争と創設者の死

1861年南北戦争が勃発し、ニューヨーク・タイムズは、日曜日版の発行を開始しました。また、1863年に議会によって南北戦争で戦う男子に徴兵を行う法律が可決されました。これに対して不満を持った市民がニューヨーク市で暴動を起こしました。ニューヨーク・タイムズもこの暴動のターゲットとなりました。レイモンドはガトリング砲でこれに応戦したとされます。

120名の死者を出したといわれるこのニューヨーク市の徴兵暴動は、ニューヨーク・タイムズは、ボルチモアのプラグ・アグリーズ、ブラッド・タブと呼ばれるギャングが参加していたとしています。

1869年にレイモンドが亡くなり、1891年にはジョーンズが亡くなりました。ニューヨーク・タイムズの社員であったチャールズ・ランサム・ミラーは他の編集者と共に、ニューヨーク・タイムズを購入するために100万ドルを調達し、ニューヨークタイムズ出版社を設立しました。

しかし、1893年と1896年に金融パニックが起こり1日当たり1000ドルを失い、新聞発行数は9000部を切るまでになりました。

アドルフ・オックス

これにより、ユダヤ人でチャタヌーガタイムズの発行者であったアドルフ・オックスは7万5000ドルでニューヨーク・タイムズの支配権を獲得します。ニューヨーク・タイムズはカー・ヴァン・アンダを編集長として、彼は15年でニューヨーク・タイムズアメリカ最大の新聞にまで押し上げ、発行部数は78万部にまで跳ね上がりました。

オックスはアメリカの反ユダヤ主義のために戦い、名誉毀損防止同盟の初期に活動し、理事会のメンバーでもありました。オックスは、ニューヨーク・タイムズの発行者としての影響力を利用して、アメリカの他の新聞社にユダヤ人への不当な風刺などを辞めるように訴えかけました。

名誉毀損防止同盟は、ユダヤ人によるフリーメイソンの組織とされるブナイ・ブリスにより創設された団体であり、反ユダヤ主義への抗議運動の中心的なロビー活動団体として知られています。

サルツバーガー家

1935年にアドルフ・オックスが亡くなり、義理の息子でありユダヤ人のアーサー・ヘイズ・サルツバーガーがニューヨーク・タイムズを引き継ぎました。サルツバーガーは1939年から1957年までロックフェラー財団評議員を務めており、政治的には反シオニズムアメリユダヤ教協議会を支持していました。アメリユダヤ教協議会には、デヴィッド・リースマンやエリック・フロム、ハンナ・アーレントなども関わっていました。

1961年にスルツバーガーが脳卒中で倒れたため、彼の娘婿であるオービル・ドライフースが後を継ぎましたが、翌年に大規模な新聞のストライキが起こり、ニューヨーク・タイムズのスタッフは5000人から900人にまで減少しました。ストライキは長く続き、その翌年に50歳で心不全のために亡くなりました。

彼の葬儀にはニューヨークの弁護士ロバート・モーゲンソー、ニューヨーク知事であったネルソン・ロックフェラー、リンカンセンターの会長のジョン・D・ロックフェラー3世、チェースマンハッタン銀行のデイヴィッド・ロックフェラーコロンビア大学の学長グレイソン・カークなどが参列しました。

ドライフースの後をうけて、アーサー・スルツバーガーとアドルフ・オックスの娘の息子であるアーサー・オックス・パンチ・サルツバーガーがその後を受け、彼は1992年に息子のアーサー・オックス・サルツバーガー・ジュニアに仕事を譲るまで発行者としての職務を全うしました。

現在、ニューヨーク・タイムズはこのアーサー・オックス・サルツバーガー・ジュニアが会長を務めており、発行人は2018年より息子のアーサー・グレッグ・サルツバーガーが務めています。また、2020年より現在ニューヨーク・タイムズ最高経営責任者ユダヤ人のメレディス・コピット・レヴィエンが務めています。

ユダヤ人による一族経営

これまで見てきたように、アメリカの有名一般紙であるニューヨーク・タイムズは、1896年から100年以上にわたりユダヤ人による同族経営の会社です。もちろん正しい情報を伝えるという新聞の役割を果たしている部分も当然あるでしょう。

しかし同時に、アドルフ・オックスが早くから名誉毀損防止同盟に積極的に参加していたように、ユダヤ人にとって必要なプロパガンダを流す組織であるという見方もしなければなりません。

決してニューヨーク・タイムズは一般的なアメリカ人の平均的な考えを代弁している会社でもなければ、一般的なアメリカ人の平均的な考えよりも優れている会社でもありません。