第一インターナショナル⑧風説と事実

安部磯雄小池四郎共訳の『インターナショナル歴史現状発展』より、第一部・第二章、「第一インターナショナル」からの転載です。一部現代風にしています。共訳となっていますが、元々の著者は不明。【コメント】以下は個人的な感想などをまとめることにします。

安部磯雄・・・日本の社会主義者、日本フェビアン協会発足者、日本ユニテリアン協会会長、戦後の日本社会党顧問

 

 

秘密結社と総評議会

第一インターナショナルは、いつでも革命と反乱とを待ち構えている一味と徒党の偉大なる常備軍をもつ緻密結社として見られていた。70年代の初めには、風説が飛ばされていたが、それがある政府に利用されて、あらゆる形で労働団体を抑圧する口実となった。しかしながら事実は、第一インターナショナルは、その敵によって思われ、その無批判的な味方によって考えられていたように、有力な団結では決してなかった。それは単に国際労働団体の端緒であるにすぎなかった。そして総評議会は、「軍隊のない輝かしい参謀本部」であった。報告を発表したり、労働統計を集めたり、各国の労働条件の報告を作製したり、賃金労働に国際的援助を促進したりするその目的の多くを実現することもできなかったのである。

それにもかかわらず第一インターナショナルは、労働運動、社会運動の上には確かに大きな事件ではあった。それは各国の労働運動指導の間の最初の接触を助成した。それはまた、後になって各国の労働階級の共通の要求になった所の諸観念の多くを、一般公衆のものたらしめた。すなわち8時間制・国際労働法規・国際労働団結の必要・労働者管理・総罷業(ストライキ)などがそれである。それはまた、ヨーロッパの多くの国の労働組合組織に、最初の衝動を与えた。それは近代社会主義の学説をはっきりさせた。

社会主義とポティエの「インターナショナル」

そしてそれが後年労働運動に影響した所の共産主義無政府主義サンディカリズムのような社会学説の根源となった。辞書の中に、インターナショナリズムという言葉を入れ込んだのもそれである。国際的××(※検閲)の闘争歌L'internationale(社会主義詩人ポティエの作歌)を普及せしめたのも、またこのインターナショナルであった。

第一インターナショナルの歴史的意味

これによって、何故、第一インターナショナルの記憶が、後年の労働ならびに社会運動にこうした大きな地位をもつようになったかという理由がわかるであろう。それは偉大なる手本であった。後年の運動が、それより霊感を求めんとした偉大なる伝統であった。後年の運動が、それ自身の思想と行動との上に、一身にしてそれに真似ようとした偉大なる手本であり伝統であった。

【コメント】

第一インターナショナルフリーメイソンが全く関係がないというと完全な嘘になります。これまで紹介してきたように完全に関係があります。もちろん後のロシア革命にも通じています。

フリーメイソンのロッジではポティエ作詞の「インターナショナル」が歌っていたということを紹介している著作も読んだことがあります。

著作自体はフリーメイソン陰謀論を全面的に否定した著作で、フリーメイソンを比較的肯定的に扱ったものです。


現在も、インターナショナルは名前を変えて、それはグローバリズムといいますが、そういった形で世界にその思想が広められています。

何故、グローバリズムという名前に変えたのでしょうか?彼らの血塗られた概念は言葉を変えただけで人々の記憶から消し去ることができるということだと思います。

今現在も、世界中のメディアを用いて私たちを洗脳し、彼らの理想を実現すべく活動しています。

阿部磯雄のような彼らの理想に魅せられた人間や、彼と同じ運命を辿っている日本社会の破壊者が今日も様々な党派で活動しています。私たちはそういった時代に生きているのです。

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